• かけら・み
    鈴木瑠季
    アメリカの写真家Terri Weifenbach の作品を見た時、その光景の中に自分がいて、そこに写されている自然が動き出すかのような感覚になった。初めて見る景色や色光に感性が刺激され、自分の中にある記憶に繋がった気がしたのだ。私自身も、写真を撮るのが好きである。写真を見ると、ファインダーを覗きながらシャッターを押したその時の、自然の物音や光が揺れていたことまで思い出す。それは、どうも言葉にはしがたいものだ。
    これは、普段、自然の中で美しいと感じている感覚を「形あるもの」に落とし込む試みである。
    幼い時、私はネフ社の木製の積木で毎日遊んでいた。Terriの写真に感じた記憶の底に眠っている感覚と、自分が積木で手遊びをしていた感覚を融合させてみたら、どんな形ができるだろうか。それは、ほかの人にとっても記憶の断片にぼんやりと重なるような作品にならないだろうか。
    制作は、木と樹脂を使って進めた。時間をかけて流し込み、じっくりと固まるのを待ってから、手の向くまま削り出し、磨いていく。そこから生まれた石のようなフォルムのそれらを「かけら・み」と名付けた。「・み」には、これを手にとる一人ひとりの大切な思いに密やかに繋がるように、その人だけが味わえるかけがいのない深い質感を捉えるという意味を込めた。一つひとつの「かけら・み」は自然のかけらをイメージしたものでもあるけれど、記憶のかけらを重ねたものでもあるのだ。